相続人に認知症・未成年の方がいる場合の遺産分割協議

遺産分割協議を行うには相続人に意思能力が必要

相続手続きを進める際に遺産分割協議を行うケースが多くありますが、有効な遺産分割協議を行うためには相続人全員に意思能力が必要とされており、意思能力を欠いた相続人が行った遺産分割協議は無効となります。

 

認知症、知的障碍、精神障碍などの人は、程度の問題はありますが判断能力を欠いている可能性が高いため、原則として遺産分割を行うことはできません。

 

認知症の程度が軽度だから大丈夫だろうと認知症の人を含めて遺産分割協議をした場合、後になってから協議内容に不満のある相続人から遺産分割協議は無効だと言われ、争いが生じてしまう可能性があります。

 

また、未成年者は単独で法律行為を行うことができませんので、法律行為である遺産分割協議を行うときには法定代理人(一般的には両親)の同意が必要となります。ただし、代理人が遺産分割協議の当事者である場合は、代理人になることができません。

 

有効な遺産分割協議をするために

認知症の人や未成年者がいる場合、全く遺産分割協議が行えないのかというと、そうではありません。

 

相続人に認知症の人がいる場合

認知症の人に代わって遺産分割協議を行う人「成年後見人」を家庭裁判所に選任してもらう必要があります。成年後見人が認知症の人に代わり、他の相続人と遺産分割協議を行うことになります。

 

ただし、成年後見人は遺産分割協議終了後も、成年後見人として被後見人(認知症の人など)の財産を管理するなどの仕事を継続的に行っていかなければなりません。遺産分割協議だけの代理人ではありませんのでご注意ください。

 

相続人に未成年者がいる場合

例えば、相続人が妻(45歳)、長男(21歳)、長女(18歳)だとした場合、未成年者の長女の親である妻が、長女の法定代理人として遺産分割協議を行うことはできません。なぜなら、これを認めてしまうと、妻が長女の財産取り分を減らして、自分自身がその分多くもらうこともできてしまうからです。

 

このケースのように妻が、その子との間でお互いに利益が相反する行為を行うには、親権者に代わって子供の代理人となる「特別代理人」の選任を家庭裁判所に請求する必要があります。この特別代理人が妻と長男と遺産分割協議を行うことになります。この特別代理人は、あくまで遺産分割協議における未成年者の代理人ですので、成年後見人とは異なり遺産分割協議が終われば基本的にはその任務は終了となります。

 

法定代理人全員が相続人でなければ、未成年者を代理して遺産分割協議を行うことができます。